わがまま科学者の英語講座

科学系の英語だけでなく、広く「英語」についての話題

アカデミックな語彙を増やす(その2)「英検初段」を目指そう

ネイティブですと、英検1級の語彙力が、小学校卒業程度ということですが、現実に、英検1級合格という小学生もいるようですので、そういうことなのだと思います。つまり、英検1級は、学術的な深さなどなくても大丈夫だということでしょう。
 
しかし、私は、日本では、こういう表層的な英語力ではなく、学術、教養に基づいた深い英語力を身につけた人を増やすべきなのだと思っています。それが、英検初段です。目指すのは、ネイティブの教養人レベルであるべきなのです。
 
以下に、前回がネイティブの小学校卒業程度でしたので、今回は「おそらく中学生程度」が身につけるという語彙を挙げておきます。どれくらいの単語がわかるでしょうか。

100 Words Every Middle Schooler Should Know - Vocabulary List : Vocabulary.com


adversary, aplomb, apprehensive, aptitude, attentive, banish, barricade, bluff, brackish, brandish, circumference, commotion, concoction, conspicuous, contortion, counter, cunning, debris, defiance, deft, destination, diminish, disdain, dismal, dispel, eavesdrop, egregious, ember, emerge, engross, exasperation, exhilarate, falter, foresight, fragrance, furtive, grueling, gusto, habitation, hasten, headway, ignite, illuminate, impending, imperious, jabber, jargon, jostle, jut, kindle, knoll, luminous, malleable, materialize, meander, meticulous, misgiving, momentum, monotonous, multitude, muster, narrate, obscure, ominous, outlandish, persistent, pertinent, plenteous, potential, precipice, pristine, quell, recluse, recuperate, replenish, repugnant, restitution, sabotage, scarcity, scurry, serenity, sociable, somber, specimen, stamina, subside, swagger, swarm, tactic, terse, translucent, uncanny, unsightly, versatile, vigilant, vulnerable, waft, waver, weather, zeal

上のリストにある単語の中にも、日本で見かけるような単語集には掲載されていないものがあるかもしれません。つまり、ネイティブの中高生のレベルで、既に日本語では勉強できない状態になっているということだと思います。今回は、こういうレベルに近づくための態度のような7つのことを紹介してみたいと思います。
 
1) 単語帳を作る。
先回も紹介しましたが、エクセルのような表計算ソフトを利用して、そのようなものを作っていくと便利です。
 
2)憶えようとする単語に制限を作らない。
これは日本の受験英語の影響だと思うのですが、重要1900語の単語集を憶える。ところが、その単語帳に載っていない単語は、重要でないので憶えないという態度ができてしまっている。こういうのは、ダメであるということです。見かけたものは全部わかろうとする、そして憶えるという気持ちをもつことが大切です。これは、日本語を考えてみればわかりますが、わからない日本語の単語を見かけたら気持ち悪くて気になりませんか。それと、全く同じ気持ちを持つということです。
 
3)単語リストは複数利用する。
一つの教材だけをひたすら何度もやるというのは、ダメです。基礎段階(例えば、単語数5000くらい)なら、一つの単語リストを何度もやるということでよいのです。ところが、高度な単語が増えてくると、一つのものではカバーできないし、リストの内容が非常に異なってくるので、一つのものではカバーできないです。また、違った状況で単語に出会うことで、記憶が強化されるということもあります。どんな教材があるのか、というのは、次回紹介したいと思います。
 
4)意味を勝手に推測しない。
今は、電子辞書、コンピュータ、オンラインの辞書がありますので、利用しましょう。よく単語を推測する力を強調するような英語教材がありますが、これは間違えて憶える危険性があるのでやめた方がよいです。普段の英語学習では、別に試験を受けるわけでもないので、辞書を使えばよいのです。
 
5)英語(英英)の辞書を使うべきです。
ある程度(おそらく1万語以上)のレベルになると英和辞書に載っていないような単語もでてくるはずです。英和辞書には、よく使われる重要な意味がほとんど記載されてなかったり、間違った意味が書かれています。また、日本語でもよくわからないようなこともしばしば。。私は、日本の英語辞書製作者の英語力を疑っています。日本の英語学者って大丈夫なのでしょうか。それと、最初は、一つの単語に一つの一番簡単な意味をつけて憶えるのがよいと思います。
 
6)具体的なイメージをつかむ。
単語が憶えられない最大の理由は、イメージがない事柄を憶えようとするからです。これを解決する一つの方法は、グーグルの「画像サーチ」を利用するという方法です。単語で画像をサーチすると、いろいろな画像がでてきます。その画像をよく見ていきましょう。
 
7)読む。
これは、もう言うまでもないですが、とにかく読む。おそらく、自分の得意分野については、科学論文も含めて、比較的初期に知らない単語がないという状態になると思います。例えば、バイオ系研究者ですと、Cellというような雑誌1冊で、知らない一般単語(非常に限られた分野の新語や専門語は除く)が1つでも出てきたらダメです。そして、意識的に違った分野の文章を読むようにすることも大切です。もし時間がない場合は、新聞や雑誌の記事の「タイトル」だけでも見るというのは単語力を付けるのに効果的です。例えば、NYタイムズなどは、毎日、タイトルだけ無料で送ってくれるサービスをやっています。こういうのを利用して、毎日、タイトルだけでも見るということをしていくとよいです。タイトルには、工夫をこらした難しい単語が使われていることが多いのです。また、世界情勢なども知ることができて、視野が広がることは間違いありません。