わがまま科学者の英語講座

科学系の英語だけでなく、広く「英語」についての話題

査読(その1)総論

最初に、このブログ中のリンクを少し追加しましたのでお知らせしておきます。

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さて、今回から「査読」について考えてみます。

 

まず、300年ほど前からあるという査読というのは、人類の科学研究の歴史から見ると、そんなに長い文化ではないということです。特に、ブランド科学雑誌やインパクトファクターが高いハイプロファイル雑誌なるものが出現してきて、査読によって、科学研究それぞれに価値を付けて、研究の「評価」が積極的に行われるようになったというのは、たかだか50-100年とかそんな期間でしょう。ですから、科学研究史を考えると、査読に依存して掲載雑誌が決まり、研究者が掲載雑誌のインパクトファクターを競って、ポストを奪い合うなんていう欧米が作った「シキタリ」は、そんなに仰々しく守るようなことではないはずです(ちなみに私は日本人としては数少ないDORAの署名者です)。現実に、「査読は本当に機能しているのか」などと、査読の問題が指摘され続け、最近ではバイオ系でもプレプリントなどを利用した出版後評価という文化が提唱され、かなり盛んになってきています。

 

とはいえ、やはり現在でも、査読は科学研究文化の中心になっています。でも、査読というのは秘密に行われてきたこともあって、それをどうやるのか、というのはあまり知られていない。そして、裏でその不透明性を利用して暗躍する科学者が沢山いる。また、2014年のSTAP問題の時には、査読の対象になる論文を書いたこともないような人たちや査読を一度もやったことのないような人たちが、査読について知ったつもりで、的外れなことを言って議論をするという奇妙なことが起きたことも記憶に新しいです。

 

今回はまず総論です。

日本語で書かれたものとしては、特に充実している"日本の科学と技術"さんによるブログ記事。

査読のやり方、査読レポートの書き方 | 日本の科学と技術

査読のやり方 | 日本の科学と技術

 

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そして産総研の研究者の方がまとめられたサイト「英語論文の査読表現集

 

バイオ系では、最近、特に気になるのが、eLifeでしょう。査読内容をすべて公開するという方針、更にeLifeという雑誌の掲載内容の多様性、レベルの高さ、査読者の質などの点で、その内容やアクセプトまでの過程がすべて見れるというのは参考になる点が多いです。

 

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以下は、当たり前のことを言っているだけで、あまり参考にはなりませんが、総論としては、学生の方には役立つかもしれません。

 

特別寄稿 査読のお作法  論文査読のポイント

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsp/33/2/33_98/_pdf/-char/ja

 

 

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英語のサイトからいくつか。。