わがまま科学者の英語講座

科学系の英語だけでなく、広く「英語」についての話題

アカデミックな語彙を増やす(その1)基礎

今回から数回にわたって、英語の語彙力を増やすということについて触れてみたいと思います。日常的に科学研究をしていて、論文を書く、英語で研究者と連絡を取るなどという場合、必要とする語彙力というのは、おそらく1万語(日本の英検でいうと、準1級から1級の間くらい)であると思います。日本国内で英語を使って生きていくという程度でしたら、これくらいで何とかなるでしょう。ただ、論文でも、総説などでやや難しい語彙がでてくる文章、新聞記事などを読み書きするには、1万語では不足かもしれません。

ところで、1万語という語彙がネイティブの英語使用者にとって、どの程度なのか、というと、実は「小学校卒業」レベルであると言われています。小学校卒業レベルの語彙力では、大学院卒のネイティブの教養人科学研究者に太刀打ちするというのは、どう考えても苦しい。

 

そこで、純ジャパ(生粋の日本人)の私としても、やはりネイティブの教養人に太刀打ちできるくらいの語彙力に近づきたいと思うわけです。そのために、私がやってきたことというのを、次回以降紹介したいと思います。

 

1)自分の語彙力のレベルを知る

まず、自分の語彙力のレベルをおおよそ把握してみましょう。アルク「レベル別語彙リストSVL12000」というのがあります。この1万2千語のうち、レベル別でどれくらい知らない単語があるでしょうか。1万語レベルでも、知らない単語が多数でてくるとなると、まだ「小学校卒業」レベルにも達していないということになると思います。

 

www.alc.co.jp

 ちなみに私のレベルは、レベル12になると、数個知らないものがあるという感じ。。まだ努力が必要です。ただ、必ずしもアカデミックではないようなものも多いという印象です。

 

2)語彙などを収集したエクセルファイルを作る

語彙や表現を増やしていくには、やはり単語帳のようなものが必要だと思います。私が、おすすめしたいのが、エクセルファイルというか、表計算のソフトを利用して、そういうものを収集したファイルを作っていくことです。これを作っておくと、メモにもなりますし、後で整理したりするのも容易になります。

 

3)まず基礎を確認する

何ごとでもそうですが、やたらと難しいものをやる前に、基礎を確認することが大切です。日本でも高校生が使っているような単語集やDUO3.0、あるいはTOEIC用のものがあると思いますが、こういうものはアカデミックな文章を扱うための語彙ではないものが多いので、科学研究のために利用するというものとはやや違うと思います(日本でよく利用されているこういう教材が、如何にも「日本人一般向け」という感じになってしまっているのは残念だと思います。)。また、エクセルに記録するということで、ESL関連で古くから利用されている定番の単語リストというのが知られています。ここでは、そういうものを3点紹介してみたいと思います。

 

New General Service List(2800語)

General Service Listというのは、1953年にできたもので古いものですが、数年前にその改訂版のようなもので、New General Service List(2800語)というのが発表されています。これは、おそらくセンター試験レベルという感じなので、研究者が参考になるようなものではないでしょうが、大学などで教えている先生方にはもしかしたら何かの役に立つかもしれません。

www.newgeneralservicelist.org

 

University Word List(808語)

よりアカデミックな内容を考慮した語彙を集めたのが、University Word List(808語)というもの。大学水準のアカデミックな文章で使われる語彙を集めたものということですので、大学生は必須でしょう。ただ、自然科学の文章ではなく、もっと広い範囲の語彙ということで、自然科学の文章に馴染みのある人には?というものもあるかもしれません。

About the UWL

 

Academic Word List(570語)

 このUWLから、更に絞ったのが、Academic Word List(570語)です。これは2000年に発表されたリストですが、絞ったことで、アカデミックらしい単語が集まっているという印象を受けます。

 

Academic Word List | School of Linguistics and Applied Language Studies | Victoria University of Wellington

 

次回は、「英検初段」を目指そう、という内容を予定しております。