日本語ですと、サイエンス系文章の作製では、「理科系の作文技術(1981年)」が昔から有名で、今年になって、その「まんが」バージョンができたようです。
さて、英語のサイエンス系の文章作製で、前回紹介したParamedicメソッドとともに有名なのが、サイエンスライティングの「古典」のようにも言われる「The Science of Scientific Writing」という記事です。
1990年にAmerican Scientistに掲載されたものですが、最近、American Scientistがテキストにして再掲載しています。良い機会ですので、3回のブログで、この記事を紹介してみたいと思います。
The Science of Scientific Writing
The Science of Scientific Writing
BY GEORGE GOPEN, JUDITH SWAN (1990) American Scientist
コピペ可能なテキストにしたもの。
オリジナルPdf版(JSTOR)。
著者のGeorge Gopen氏は、デューク大学の英文学教授。
一方、Judy Swan氏は、MITの分子細胞生物学のPhD学生だったが、現在はプリンストン大学で科学ライティングを教える。
In praise of technique: Judy Swan at TEDxCMU
こんな記事も。。
Right your Writing
今回は、「The Science of Scientific Writing」の内容を、私が勝手に意訳、解釈して、よりわかりやすく説明します。英語による解説は、Googleで、「The Science of Scientific Writing」を検索すると、沢山見つけることができます。
1)読み手の期待に応えよ
文の意味というのは、書く人の思いではなく、読み手の解釈で決まる。文中の情報は、読み手が期待している位置にあると、うまく伝わる。これを念頭において、書き手は文を推敲するべきである。
これは全くそのとおりで、文章は何かを伝えるためにあるわけで、読む人のことを考えて書くのは、言うまでもなく大切です。この点は、次回、更に詳しく説明します。
2)ディスコース単位には一つの機能のみを持たせよ
ディスコース(文、パラグラフ、セクション、記事)の単位は、1個だけの機能functionを持っていることが望ましい。もし、ディスコースがいくつもの機能をもっていたら、読み手は混乱してしまう。
これも英文作製ではよく言われること。一つの文には一つの情報のみ。別の情報を入れる場合は、文を分けよ、ということです。
3)行為は動詞にせよ
読み手は、動詞に文の中の行為actionを期待している。文の中の行為は動詞にするべき。そして、読み手は、主語のすぐ後に動詞が続く文が読みやすいと感じる。主語と動詞の間に何かを入れることは読みにくい原因になるので避ける。
これは、前回のParamedicメソッドと同じことを言っています。
続く。