わかりやすいサイエンスライティングのための「The Science of Scientific Writing」という記事についての「その3」、最終回です。
繰り返し言っているのは、文章の意味は、書き手ではなく、読み手が解釈することで決まるということです。その1とその2では、次の1から4までを説明してみました。
1)読み手の期待に応えよ
文の意味は、書く人の思いではなく、読み手の解釈で決まる。文中の情報は、読み手が期待している位置にあると、うまく伝わる。こ
れを念頭において、書き手は文を推敲するべきである。
2)ディスコース単位には一つの機能のみを持たせよ
ディスコース(文、パラグラフ、セクション、記事)の単位は、1個だけの機能を持っていることが望ましい。
3)行為は動詞にせよ
読み手は、動詞に文の中の行為を期待している。文の中の行為は動詞にするべき。Paramedicメソッドと同じことを言っています。この部分は、Paramedicメソッドを参考にしてください。
5)トピック・ポジション Topic position
「トピック・ポジション」とは、文、パラグラフ、セクションの始まり。
そして、前回も少し触れましたが、この観点。強調と話題ということを、旧情報と新情報という観点から、わかりやすい論理の流れを作ります。
6)流れをつくる
流れは、常に旧情報から新情報の順番になっているとわかりやすい。トピック・ポジションに旧情報を置き、ストレス・ポジションに新しい情報を置くと、この流れができる。
ーーーーーーーーーAーーーーストレスポジション(新情報)。トピックポジション(旧情報)ーーーBーーーーストレスポジション(新情報)。トピックポジション(旧情報)ーーーCーーーーストレスポジション(新情報)。トピックポジション(旧情報)ーーーDーーーーストレスポジション(新情報)。トピックポジション(旧情報)ーーーEーーーーストレスポジション(新情報、結論)。
7)論理的なギャップに気づく
ストレス・ポジションに置かれた情報に注意する。ストレスポジションの情報が、最終的な結論なのか、次につながる情報なのか。最終的な結論でないのに、ストレスポジションに置かれた情報が次にでてこないと、読み手側の知識や想像が必要になってしまい、その結果、非論理的になってしまう。
以上、「The Science of Scientific Writing」という記事に書かれていることを、私なりに噛み砕いて説明してみました。記事の中にも書いてありますが、これは「ルール」というものではなくて、あくまで考えてみる指針みたいなものとして、気軽に考えるべきものでしょう。つまり、その時々によって、様々なやり方があるということです。こういうことに気をつけて論文や英文を書いてみましょうということなのだと思います。