改めて言うまでもありませんが、英語論文を書くときは、同じ単語や似た言い回しを同じパラグラフの中では繰り返し使わないというのが原則です。おそらく、珍しい単語(専門用語以外)ですとパラグラフどころか、論文の中で一回使ったら2度と使わないくらいのつもりになると思います。例えば、こんな感じの文章は、みっともないということです。
It is suggested that ….。It is suggested that…。It suggests…. , suggesting that ....(一つのパラグラフ中)
In addition, …. In addition, …. Additionally, additive ...added ... (Introductionの中で)
A panoply of xxxx (introduction中) A panoply of xxxxx (Discussion中)
こうならないように、言い方を工夫して、同じ言い回しを使わない。つまり、類語や類似表現を沢山知っていると、良い英文が書けるということになります。私は英文を書く時には、シソーラスThesaurus(類語辞典)を使います。本来の目的は、もちろん、違った単語や言い回しを探すということです。しかし、シソーラスを使うことで、次のような効果があるのではないか、とも感じています。
一つは、シソーラスを見ているだけで発想や説明の仕方を明確にできることがあります。文章の論理を別の単語に変更して書き直すことで、説明の仕方を変えることができる。その結果、単に作文の工夫ということだけでなく、サイエンスそのものの論理を考えるきっかけにもなるということです。
もう一つは剽窃回避です。どこかからコピーしてきた文章をそのまま使ったら剽窃plagiarismになります。しかし、科学的な文章の場合、やはり言い方というのは正確に説明しようとすると、あまり多様性がないものです。鋳型が全くないところから自分の文章で書いていても、直前に見た論文の書き方が頭に残っている。あるいは、一人の人の文章は口癖のような言い回しがあるので、どうしても似てしまうことがあり、自分で自分の論文の文章を剽窃するということになりやすい。こういったケースを避けるためにシソーラスは有効です。
最近のパソコンには、Thesaurusが組み込まれて使えるようになっているので、まずそれを使いこなうことが大切でしょうか。また、適切な単語を見つけるために、複数のシソーラスを利用するということも頻繁にあると思います。それぞれのシソーラスには、特徴があります。
シソーラスは、医師、生理学者であったPeter Mark Roget (1779-1869)によって、最初に作られたもので、 現在でもRoget's Thesaurusなるものが販売されています。1911年版は、著作権が切れており、あちこちで無料で入手できると思いますが、いかんせん古いです。
その他のオンラインのThesaurus。
人気のあるシソーラスThesaurus.com。はてなブックマークも多いようです。
その他の定番。
販売されている人気のあるシソーラスから。。